鉢の魚

透きとおった大鉢に魚を泳がせて飼ったことがある。十日もたたないうちに、一匹がもろもろと砕けた腹を上にふわふわ浮いていた。
他の魚が死ぬのを待ち、すべて川に捨てた。鉢を洗い、鉢も捨てた。魚を鉢で飼うことはそれきりしなくなった。
死んでいる生き物を上から横から下からじっと見ることのできる容れ物に入れて、死ぬまで生き物を飼うのか。
死んでうろうろと漂っている魚は気味が悪い。生き物を死ぬまで容れてじっと見るための鉢は気味が悪い。