室を燃やせば家も焼ける。たいがい焼けてもよいが、すべて焼けては困る。 自室に戻り、ぐるりと見回した。さしあたって寒い思いをせぬだけの衣服と布団が要る。替えは幾枚持つか。履きものは。紙を一枚置けるだけの小机、あれは手放したくない。二輪の荷車を…
陽が落ちてからは他家の軒下で眠り、陽があるうちは戻って鉢の隣の自室で座ってみることにした。 三度目の昼、この勤めでは狎れるより骸が砕けるほうが早い、と思えた。そこで、女の室に入り、箪笥から女の着ていたものを幾抱えも出し、鉢の室に運び入れて骸…
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